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ドクターKのこだわりコレクションをご紹介します。

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久しぶりにバーンスタインのトリスタンを聞いた。全曲を聴き終え、深い感動と心地良い疲れとでしばらく茫然としていた。

ワグナーの「トリスタンとイゾルデ」は史上最高のオペラの一つ。それだけに数多くの名盤がある。そのなかでもとてもユニークなのがこのバーンスタイン盤。

バーンスタイン盤は1976年、ミュンヘンでの演奏会様式によるレコード録音のためのライブ収録。主役はトリスタンがホフマン、イゾルデがベーレンスの組み合わせ。何がユニークなのかというと、とにかく演奏時間が長い。

ニューヨークフィルの音楽監督を辞し、ウィーンフィルなどへの客演が増えてきた時代のバーンスタインは、若い頃とはその演奏スタイルが変わり、ロマン派以降の作品について、徹底した自己没入により、曲を自己流に再構築する手法をとるようになった。例えば、シベリウスやチャイコフスキーの交響曲なども、彼のマーラーに対する姿勢と同様のアプローチを試みた。

それにしても、これほど陶酔的なロマンティシズムに貫かれた演奏は他にない。その意味では、かのフルトベングラー盤をも超えている。ここまで主情的なアプローチは前代未聞である。そしてその手法がここでは見事に成功し、「トリスタン」の粘着質で官能的な世界を完璧に描き切っている。




実はこの演奏会の模様のビデオ映像が残っている。おそらくテレビ中継を誰かが録画したものなのだろう。通常の演奏会のようにオーケストラが舞台上に展開し、各幕ごとに歌手達が登場、オーケストラの背後に立つ。通常のオペラ舞台のような演技も必要ないので、専ら歌唱に没頭できている。レニーの全身を使ったエネルギッシュな演奏姿を堪能することができる。この貴重なビデオは海賊版なので入手が非常に困難であり、一般にその存在はあまり知られていない。

バーンスタインの指揮姿を一度観たことがある。以前、私の出身の札幌でPacific Musical Festivalという夏期のクラシック音楽フェスティバルがあり、この田舎に何とバーンスタインがやって来てしばらくの間滞在し、アジアの若い演奏家たちを熱心に指導してくれた。今から思うと、彼はすでに病魔に冒されていた時期であり、体調があまり優れない中で本当に有り難いことであった。

Dr K
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日々の外来診療の傍ら、周囲の目に隠れて密かに集めたこだわりのコレクション。未視聴、未読のCD、DVD、本の山に囲まれながら、人生の残り時間を考える毎日。
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