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ドクターKのこだわりコレクションをご紹介します。

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自己責任とはいえ、際限のない蒐集癖にも困ったものである。お気に入りの演奏家であれば、未発表録音と聞くとつい食指が伸びてしまう。メンゲルベルグもその中の一人。

メンゲルベルグといえば、フルトヴェンブラーと並んで、戦前から戦中に活躍した巨匠中の巨匠。名門アムステルダムコンセルトヘボウを鍛え上げ、オーケストラを自らの楽器と化し、縦横無尽な名演を聴かせた。その特徴は、超ロマン主義的な曲の解釈と演奏。自在にフレーズやテンポを大きく動かし、敢えて、大衆に受けるような個性的な表現を披露した。その典型的な例がチャイコフスキーの悲愴やバッハのマタイ受難曲。聞き慣れた曲の聞き慣れた表現を予期していると吃驚してしまう。

イタリアのTahraレーベルから第3集まで発売された未発表ライブ録音集には、珍しい録音が多数納められている(写真上、左右)。この中には、1940年4月に短期間に行われた有名なベートーベン交響曲の全曲演奏会のライブ録音のうち、これまで失われたと考えられていた交響曲第3番「英雄」の第2から第3楽章が納められている。大衆の受けを狙った恣意的な演奏を聴かせることの少なくないメンゲルベルグだが、ベートーベンやブラームスの作品では、ライブ録音においても意外に正統的な解釈をしていることがわかる。但し、そこでもベートーベン第9のエンディングやブラームス第4番第一楽章など、期待を裏切らない愕きで魅せる。



写真上は、オランダのQ Diskというレーベルから発売されたCD10枚組の未発表放送録音集。この箱に添付されたDVDでは、1937年9月、ウェーバーのオべロン序曲の全曲を指揮するメンゲルベルグの勇姿を観ることができる。意外に端正な指揮をしている。

メンゲルベルグはフルトヴェンブラーと同世代であり、戦前のヨーロッパ楽壇においては両者肩を並べる影響力があったはずだが、今なお多くのクラシックファンに神のように崇められているフルトヴェンブラーに比べ、メンゲルベルグが名盤談義などの話題に上ることはあまり多くない。大戦中、ナチの活動に露骨に協力したメンゲルベルグは、その巨匠としての名誉を戦後も回復することなく、不遇の内にその生涯を閉じてしまった。

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日々の外来診療の傍ら、周囲の目に隠れて密かに集めたこだわりのコレクション。未視聴、未読のCD、DVD、本の山に囲まれながら、人生の残り時間を考える毎日。
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