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ドクターKのこだわりコレクションをご紹介します。

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バルトークの弦楽四重奏曲6曲は、20世紀が生んだ最高の室内楽曲である。ベートーヴェンの16曲の弦楽四重奏曲が旧約聖書、バルトークの6曲が新約聖書と喩えられることもある。バルトークはハンガリー生まれの作曲家。民俗音楽の研究家でもあり、その研究の成果を自分の作品に積極的に取り入れた。6曲のいずれもが違った曲想からなり、第1、2番でそれまでの後期ロマン派様式に別れを告げ、民俗音楽を作品に取り込む手法を打ち立て、3、4番で独創的な自己の作風を確立し、第5番で弦楽四重奏の芸術的頂点に上り詰めた後、第6番で一転して恬淡に祖国への告別を謡った。

ジュリアード弦楽四重奏団(ジュリアードSQ)は、バルトークの弦楽四重奏曲全集を計3回録音している。上に挙げた写真は1963年の第2回目の録音で、この曲の最高の演奏との誉れの高いもの。ジュリアードSQはその結成以来、メンバーの入れ替わりを繰り返しているが、この録音が行われた時の構成は、ヴァイオリンがマン、コーエン、ヴィオラがヒリアー、チェロがアダムと最強のメンバーであった。4人全員がその高い演奏技術により、複雑なリズムと曲想の難曲を完璧に再現した。恐ろしく精緻な演奏である。今もこれを超える演奏はないと信じている。


 

ジュリアードの1回目の録音は1950年に行われている(写真左)。メンバーは結成時のオリジナル団員。前年に行われたニューヨークでの全米初の全曲チクルスの衝撃的な成功を踏まえて録音が行われた。先駆者としてこの画期的な作品を世界に紹介する使命を与えられたことへの自負とともに、こうした作品と巡り会った演奏家たちの素直な感動が感じられる。熱い覇気が伝わる清新な表現であり、未知の世界に対峙する異常な緊迫感が伝わってくる。迂闊に触れれば血しぶきが飛びそうな鋭利な演奏である。

第3回目の録音は81年に行われた。メンバーはマンを除いて一新されているが、最早、現代の古典となった作品に対して、完璧な演奏を目指すという技術的な興味を乗り越え、純粋に作品の意図する音楽的核心に迫ろうとする姿勢が伺える。演奏に柔軟さと芸のふくらみが加わり、作品を慈しむゆとりさえ感じる。円熟を迎えたジュリアードの至芸である。




ジュリアードSQの全盛期は1958年から1967年までのマン、コーエン、ヒリアー、アダムというメンバーの時代。4人の音楽センスと技量が極めて高いレベルで伯仲してり、切磋琢磨しながら最良の音楽を創造した。この時期の代表作はCBS時代の第2回バルトーク全集、中期ベートーヴェン弦楽四重奏曲のラズモフスキー3曲などであるが、以前のRCA時代にも多くの名演を残していた。RCA録音の一部については数年前に、英国のTestamentレーベルからCD4枚分の録音が復刻された(写真上)。ベートーヴェンやシューベルトなど古典派以外にも、ベルクやウェーベルンの新ウィーン学派音楽の名演が聴ける。




また、ジュリアードSQは1962年にブダペスト弦楽四重奏団の後継として、ワシントン国立国会図書館のレジデントカルテットとなり、定期公演を続けた。バーンスタインやアラウなど一流の音楽家との共演のライブ録音は、Doremiというマイナーレーベルから次々と復刻されていたが、第6集まで進んだところで、残念ながら同レーベルは倒産してしまった(写真上)。




ちなみに、これがジュリアードSQの60年代旧録音のベートーヴェン弦楽四重奏曲全集。お勧めは80年代録音の新盤の方ではないので念のため。購入しておいて損はないですよ。

ジュリアードSQにまだまだ多くの埋もれた名演奏の記録があるはず。SONYとRCAがジョイントした今、最近の巨大クラシックボックス販売の波に乗り、ぜひジュリアードのコンプリートコレクションを発売してほしいものである。




おまけ)これもジュリアード最初期の貴重盤(廃盤)で、United Archicesのシェーンベルグ弦楽四重奏曲全集。まだ未開封です。

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日々の外来診療の傍ら、周囲の目に隠れて密かに集めたこだわりのコレクション。未視聴、未読のCD、DVD、本の山に囲まれながら、人生の残り時間を考える毎日。
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