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ドクターKのこだわりコレクションをご紹介します。

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チャーリー・パーカー。不世出のジャズジャイアント。ディジー・ガレスビーとともにビバップの開祖とされ、40−50年代にニューヨークで活躍。酒、女と麻薬に溺れ身をやつし、退廃的享楽的人生を駆け抜け、34才で早逝した破滅型のジャズマン。ジャズに興味のない方もどこかでその名前を耳にしたことがあるはず。そのサックス演奏の特徴は泉のように溢れ出るアドリブライン。同じ曲を幾度も演奏しているにも拘らず、一度として同じフレーズを吹いたことがないという驚きの即興演奏。しかもそのすべてが独創的で流麗なアドリブ。まさに天賦の才に恵まれたジャズプレーヤー。

彼の残した演奏のすべてが傾聴に値するが、最高傑作と誰もが認めるのがサヴォイとダイアルのスタジオ録音。麻薬中毒の朦朧とした意識の中で録音を敢行された「ラバーマン」もまた掛け替えのない記録。

こうした天才ジャズマンの演奏の魅力に取り憑かれたストーカーともいえる人物が居た。その名は「Dean Benedetti」。彼自身もカリフォルニア出身のテナーサックス奏者であったが、パーカーの演奏を聴いて衝撃を受けた彼はその後ニューヨークを訪れクラブで生演奏するパーカーを追いかけ回し、そのアドリブソロのみをテープ録音した。この貴重な記録は長らく幻のテープとされていたが、その後、Benedettiの家族が保存していることがわかり、紆余曲折を経て1988年にMosaic Recordsのオーナーのマイケル・クスカーナが著作権を購入、同レーベルからCD7枚組のセットとして発売され、初めてその全貌が明らかになった(写真上)。パーカーのソロのみが延々と流れる不思議なCDだが、空駆ける天馬のような絶頂期のパーカーの演奏が聴ける。




このBenedettiコレクション以外にも、パーカーの海賊盤は多数存在する。その未発表録音を集大成したのが、この18枚組のCDセット(写真上)。その名も「パーフェクト・コンプリート・コレクション」。これとサヴォイ、ダイアルとバーブの全集を揃えれば、パーカーの遺産の収集はほぼ完成する。


それにしても自らの欲望の為すがままに自由奔放に生きたパーカーの人生。眼前の些事への対応に忙殺される日々を送る自分には、羨ましくて仕方がない。

Dr K
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クリフォード・ブラウンはおそらくジャス史上最も才能に恵まれていたトランペット奏者。その全盛期のマーキュリー時代の録音を集大成したのがこの全集。1989年に発売され、その後再発のない貴重なセット。別テイクも多数収められている。

クリフォードは1950年代前半のハードバップ時代に活躍し,「ブラウニー」の愛称で親しまれた。アート・ブレイキーに抜擢され、『A night at Birdland』で表舞台に衝撃的なデビュー。その後、ドラムの巨匠マックス・ローチと双頭クインテットを結成し、数々の名演奏を行った。ところが1956年6月、キャリアの絶頂期に交通事故により25歳の短い生涯を閉じた。その笑顔からも偲ばれる気さくで温厚な人柄は誰にでも愛された。あまりにも早く訪れた彼の死は皆に惜しまれた。ベニー・ゴルソンによる追悼曲『I remember Clifford』も残されている。

ブラウニーの演奏はその流れるようなアドリブラインに魅力がある。湧き出る泉のごとく饒舌なソロを繰り広げる奔放なインプロビゼーション。叙情的なフレーズはどこまでも流麗で、朗々とした歌心を披露する。どんない早いフレーズでも乱れることがなく、アップテンポで激しいソロを繰り広げる。天性の資質なのだろう。天才の名を欲しいままにした彼の真骨頂が上の全集に記録されている。正確無比なドラミングのマックス・ローチのサポートも見逃せない。

全集には、ローチらとのクインテット演奏、マーキュリーのお抱えジャズマン達とのジャムセッションの他、3人の歌姫のためのサイドマンとしてのセッションも含まれている。中でもハスキーボイスのヘレン・メリルとの滴るように艶やかな競演が聞きもの。『You'd be so nice to come home to』などは、誰でも一度は耳にしたことがあるだろう。もちろんブラウニーの素晴らしい演奏は、個別のCDでも味わうことができる。お薦めは『Helen Merrill & Clifford Brown』以外に、『Clifford Brown and Max Roach』と『Max Roach and Clifford Brown in Concert』あたり。

それにしても、将来を嘱望されながら早逝してしまったジャズマンの何と多いことか。私見でもう少し長生きしてほしかったと思うのは、ブラウニーの他、ベーシストのスコット・ラファロとピアニストのエディー・コスタ。いずれも死因は交通事故。不慮の早世がなければ、その後どんなに素晴らしい演奏を残してくれたであろうと思うと、誠に残念でならない。

Dr K



マイルスのアルバムの中で最も好きなのは「Miles Davis in Concert」。1964年2月、ニューヨークのリンカーンセンターでのライブ録音。以前は「My funny Valentine」と「Four & More」という2つのアルバムに分売されていたが、現在は当夜の演奏すべてが収録された「The Complete Concert 1964」にて入手することが可能。出演メンバーは、マイルスの他、ジョージ・コールマン、ハービー・ハンコック、ロン・カーター、トニー・ウィリアムズという顔ぶれ。司会者のイントロから始まり、コンサートの全貌を追体験することができる。

「In Concert」はマイルスのリリシズムが最高に発揮されたアルバム。中でもタイトル曲「My Funny Valentine」での彼のソロの美しさには思わず言葉を失うほど。繊細なプレイでありながら、同時に圧倒的な緊張感とスリリングさに満ちた極上の音楽。ここには、ライブにおけるマイルスの最良のソロ演奏が記録されているといっても過言ではない。




昨年、マイルスがColumbia(現在はSony)に録音したほぼすべて(Plugged Nickelの別録音が入っていない!)の音源(52のアルバムで、CD70枚プラスDVD1枚)が収録された「The Complete Columbia Album Collection」という巨大なボックスセットが発売された。各々のアルバムの初出時のオリジナルLPジャケットデザインが再現されており、まさにマイルスの最大の遺産と呼ぶにふさわしい豪華な内容になっている。

帝王マイルスのジャズ史上の偉業を辿ろうとするならば、彼のアルバムを発表された順に聴く必要がある。この偉大なミュージシャンは未知の可能性を求め、休むことなく新しいジャズ形態を追求してきた。機を見るに敏感なこの賢明な音楽家は、常に時代の先頭に立ち、その演奏スタイルを刻々と進化発展させ、ジャズ界全体の趨勢に多大な影響を与えてきた。このColumbiaのボックスと、それに先立つPrestige時代の全集を合わせると、マイルスの創造してきたジャズスタイルの変遷(実はこれがジャズ音楽界全体の動向そのもの)を鳥瞰することができる。

Dr K



「The Complete Live at the Plugged Nickel 1965」。これも御気に入りのコレクション。

マイルス・デイビスは1965年12月、シカゴのナイトクラブ「プラッグド・ニッケル」に出演した。マイルスの他、ウエイン・ショーター、ハービー・ハンコック、ロン・カーター、トニー・ウィリアムスという黄金のメンバーがサイド。いずれも当時ブルーノートが積極的に録音を進めていた新主流派の看板スターであった。

これはその時の演奏をすべて収録した8枚組のボックスセット。当初1992年に日本でのみ限定発売されたが、その演奏の素晴らしさと希少価値から、日本を訪れた著名ジャズマン達もこのセットを求めてレコード店を探し歩いたという。その後1995年になり、日本盤では短く編集されていた曲がオリジナルの状態に戻され、完全盤として、米国でも漸く発売された。現在は廃盤で、入手は難しいかもしれない。

テナーのウエイン・ショーターが加入し、マイルスの第2期黄金クインテットがもっとも過激に疾走していた時代の記念碑的ライブ。その白熱の演奏には繰り返し聴いてもやはり興奮してしまう。マイルス自身は事故後の回復期にあり、体調は良くなかったが、その紡ぎだすトランペットの音はやはり力強く、サイドマン達もそれに負けずに猛烈な勢いで親分に喰ってかかる。特に絶頂期のウエイン・ショーターの奔放なプレイとトニー・ウィリアムズの刻むドラムの暴れっぷりに圧倒される。時には破綻寸前になるまで、音楽が過激に展開する。

このアルバム以降のマイルスは、ソロイストとしての演奏よりも、グループとしてのトータルサウンドの創造に重きを置くようになる。私の愛聴するマイルスの作品は「プラッグド・ニッケル」までで、これ以降の作品にはあまり興味を覚えない。食わず嫌いなのかもしれないが。

Dr K

今日はハッピージャズピアノの話。




ジャズに興味はあるけれども、どこから入っていいかわからないという方、オスカーピーターソンのソングブックシリーズなんかお薦めです。クリニックの待合室ではいつもこの曲集が流れています。

ここには聞き慣れたスタンダードの曲がキラ星のように揃っています。アメリカの有名なシンガーソングライターたち、コール・ポッター、ジェローム・カーン、アービン・ベルリン、デューク・エリントン、ジョージ・ガーシュインなど、ブロードウェイミュージカルや映画、あるいはシナトラの歌などを通じて「どこかで聞いたことのあるメロディー」がぎっしり詰まっています。しかも演奏は黄金期のオスカー・ピーターソントリオで、ベースがレイブラウン。悪いはずがありません。

オスカーはカナダ出身のピアニストで無類のテクニシャン。でも決してそのテクニックを意図的に誇示したりしません。どんなに早いどんなに難しいフレーズでも終止ニコニコと笑みを浮かべながら、楽々と弾きこなしてしまいます。ビヤ樽のようなその巨体の隅々から「Happ(y)ness」が溢れ出ています。ジャズというと、「タバコの煙がゆらゆらと浮かぶ薄暗いナイトクラブで不健康そうなプレーヤーが気難しい顔をして演奏するもの」という固まったイメージ(偏見ですよ)をお持ちの方、オスカーの演奏には当てはまりません。

上の写真はカナダ限定で発売されたボックスセット(CD5枚組)で、1950年代末にVerveレーベルにステレオ録音されたソングブック集がすべて納められています。まだどこかで手に入るはず。作曲家別にも販売されていますので、初めての方はそちらがいいかも。




オスカーは1950年代初頭にもClefレーベルにソングブック集をモノーラルで録音していました。その全集はMozaic Recordから限定発売されましたが(写真下、まだオープンしていません)、ここまで来ると泥沼のマニアの世界ですのでもちろんお薦めはしません。

オスカーのマニアックなコレクションについてはまた別の機会にでも。

Dr K
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日々の外来診療の傍ら、周囲の目に隠れて密かに集めたこだわりのコレクション。未視聴、未読のCD、DVD、本の山に囲まれながら、人生の残り時間を考える毎日。
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